判例(雇止め)

April 12, 2018

札幌交通事件‐札幌地判 平29・3・28 労働経済判例速報2315号,札幌高判 平29・9・14 労働判例1169号5頁

【事案】
 Xが,Yに対し,Yがした雇止め等が無効・違法であるとして,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めたもの。

【判断】
〔第1審〕
「本件労働契約…が,労働契約法19条1号に該当するかを検討する。
 たしかに,…労働条件通知書(嘱託乗務員)の「契約更新はしない」の丸印は,平成26年11月以降は,Y代表取締役の指示により,全嘱託社員について,つけられるようになったものであり,乗務員毎に個別に判断されてつけられていたわけではない。
 しかしながら,…Xは雇用期間を6か月とする有期労働契約が2回更新されたにすぎないこと,及び,X以外にも更新が拒絶された嘱託社員がいたことなどに照らせば,…Xの主張及び本件全証拠によっても,本件労働契約…が労働契約法19条1号に該当すると認めるには足りない。
 よって,本件労働契約…は,労働契約法19条1号に該当しない。」

「次に,本件労働契約…が,労働契約法19条2号に該当するかを検討する。
 …嘱託乗務員雇用契約書には,契約の更新の欄に「会社が特に必要と認めた場合契約の更新をすることもある。」との記載がある。また,労働条件通知書(嘱託乗務員)の「契約の更新はしない」の丸印は,平成26年11月以降,Y代表取締役の指示により,全嘱託社員について,つけられるようになったものであり,嘱託社員毎に個別に判断されてつけられていたわけではない。そして,F所長でさえ,同丸印の意味については,文字通り更新しないという意味とは理解しておらず,場合により更新することがあるとの意味と理解していた。そして,X以外で更新を拒絶された嘱託社員は,証拠上認められる者は,1名である。さらに,Yは,平成26年6月頃又は同年7月頃,日本交通労働組合に対し,「嘱託社員の契約は,原則として,更新する。ただし,欠勤が多く業務に支障を来す者,病気により改善が見込めない者,事故,苦情等,会社に大きな損害を与えた者については,その限りではない。」旨説明した。その上,手続については,嘱託社員に対し労働条件通知書(嘱託乗務員)が交付され,嘱託乗務員雇用契約書が作成される。
 以上の事情によれば,Xにおいて,平成27年9月30日の期間満了時に,本件労働契約…が更新されると期待することは,その程度は強くないものの,合理的な理由があるというべきであり,本件労働契約…は,労働契約法19条2号に該当するものである。」

「Xの勤務成績が極めて悪かったこと,Xの勤務方法が一般的な又は勤務成績の良いY乗務員と異なっていたこと,Xの勤務成績及び勤務方法について改善可能性がなかったこと,Xは雇用期間を6か月とする有期労働契約が2回更新されたにとどまっていたこと,平成26年6月頃又は同年7月頃のYから日本交通労働組合に対する説明などによれば,X以外で更新を拒絶された嘱託社員として証拠上認められる者が1名であることといった事情,Xの主張及び本件全証拠に照らしても,本件雇止めには,客観的合理性も社会通念上の相当性も認められるというほかない。」

〔控訴審〕
「本件労働契約…について作成された嘱託乗務員雇用契約書(〈証拠略〉)及び労働条件通知書(嘱託乗務員)(〈証拠略〉)上,契約期間は平成27年4月1日から同年9月30日までとされており,かつ,「契約の更新はしない」又は「会社が特に必要と認めた場合契約の更新をすることもある。」と明記されていた(…)。
 そして,Yは,日本交通労働組合(当時はXも加入していた労働組合)に対して,「嘱託者の契約は原則更新する。ただし欠勤が多く業務に支障を来す者,病気により改善が見込めない者,事故,苦情など,会社に大きな損害を与えた者についてはその限りでは無い。」,「補償給者に対する指導だが,補償給が会社経営を圧迫しているのも事実である。従って会社としては,年間を通して給与部率の60%を超える者に対して,営業成績,事故,無線,苦情等,総体的に指導して行く。」と説明していた(…)。実際,平成27年5月,勤務成績が悪く,Yによる指導後も改善が見られなかった乗務員が雇止めとなるという事態も発生している(…)。
 上記のとおり,Yにおいては,多くの嘱託社員との労働契約が更新されていたということはできるが,勤務成績などによっては契約更新をしない旨が乗務員に対して示されており,実際,そのような事態が発生しているのであって,Xにおいて,当然に本件労働契約…が更新されるものと期待できたということはできない。」

「本件労働契約…について,労働契約法19条1号又は同条2号に該当するとは認められない。」

「本件労働契約…が労働契約法19条1号又は同条2号に該当することは認められないことは,上記…のとおりであり,本件労働契約…は,平成27年9月30日の期間満了により終了したものというべきである。(本件雇止め)。」

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