判例(解雇)

November 05, 2018

日本マイクロソフト事件

日本マイクロソフト事件‐東京地判 平29・12・15 労働判例1182号54頁

【事案】
 Xが,Yに対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めたもの。

【判断】
「(1) …本件事故の前日である平成25年2月8日に実施したM1社の案件に関するミーティングでは,3連休明けの同月12日の週のスケジュールが話し合われ,Xには連休明けの同月12日(火)に提出すべき宿題(なお,証人Aによれば,同月12日(火)の朝にミーティングを実施し,そこで決まった内容に基づいてその日の夜にその宿題を提出することが予定されていた。)が確認されたことが認められる。そうすると,AがXに対して同月9日の休日出勤を指示したとはいえないものの,事前承認を得ずに勤務することが多いXが同月9日から同月11日までの間に宿題提出のために作業すること,すなわち休日出勤をすることは想像に難くなく,許容していたといえる。そうすると,Xは,業務遂行のためYの支配下にある事業場で本件事故に遭ったと認められ,業務起因性があるといえる。
(2) これに対し,Yは,Xが業務指示に違反して所定休日である平成25年2月9日(土)に許可なくY本社事業場内に侵入した挙句,本件事故に遭遇したのであるから,労働基準法19条1項所定の「業務上」の事故に該当しないと主張する。…のとおりXは,同月5日のミーティングにおいて,残業するに当たっては,業務内容と対応時間について事前に承認を得るようにと指示を受けていたが,同月9日(土)のM1社の案件で休日出勤する旨の申請はしていなかったことが認められるが,上記(1)で述べたとおり,それらによっても業務起因性がないとはいえないから,上記Yの主張は採用しない。」

「ア 本件事故があったとされる平成25年2月9日からYが本件解雇を通知し以後の就労(ママ)免除した同年5月29日までの間において,Xは,午前休や全休を取得したと主張するが,…のとおり,Xの主張する日は,所定休日あるいは,所定労働日に所定労働時間7.5時間以上の勤務実績がある日であり,休業の事実が認められない。したがって,労働基準法19条1項の解雇制限の適用はない。
 イ Xは,形式的に休業していなかったとしても,身体的状態として本来欠勤して療養すべき健康状態にあった以上,労働基準法19条第1項の解雇規制が直接ないし類推適用されるべきであると主張する。しかし,労働基準法19条1項はあくまで業務上の傷病の「療養のために休業する期間」の解雇の意志表示を禁止している規定であることは文理上明らかであるから,Xの上記主張は採用しない。」

「イ …Yは,…認定したとおり,平成24年12月26日及び平成25年4月4日の2回にわたって「勤務改善指導書」を交付する等,再三にわたってXに対する注意指導を行ったが,XはYが指摘した事項に該当する事態については思い当たらないとしており,Yがいくつか具体的なエピソードを指摘して業務遂行上・勤務態度につき重大な指摘を受けているにもかかわらず,Xからは反省の言がなく,Xにおいて上司等の教育指導に真摯に向き合っていないと言わざるを得ない。これは,Xの勤務態度が著しく不良であるといえるだけでなく,継続的な教育・指導をしたにもかかわらず改善しない状態にあると評価することができる。なお,Xは,PIPを課されていたため,稼働率を上げるべく,アサインを要求したと述べるが,それは,アサインされた仕事に関し遅延・遅滞を招いたり,関係者との連絡が不十分であったり,みだりにアサインを求めたりすることを正当化するものではない。
 ウ 以上によれば,本件解雇は,客観的合理的理由があり,社会通念上相当であるから,有効である。」


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