綜企画設計事件‐東京地判 平成28・9・28 労働経済判例速報2304号3頁

【事案】
 Xが、Yに対し、労働契約上の権利を有する地位の確認請求等を求めたもの。

【判断】
「ア Yの就業規則は、休職中の者が休職期間を満了してもなお復職不能とときは休職期間満了をもって退職するとしており、Yにおける休職制度は、休職期間中の使用者による解雇を制限し労働者の地位を保全するものであるということができる。
 そうであるとすれば、休職期間が満了する前に休職原因が消滅したことについては、労務の提供ができなかったにもかかわらず解雇権を留保されていた労働者が主張立証責任を負うと解するのが相当である。
 イ 次に、ここでいう休職原因である「復職不能」の事由の消滅については、労働契約において定められた労務提供を本旨履行できる状態に復することと解すべきことに鑑みると、基本的には従前の職務を通常程度に行うことができる状態にある場合をいうものであるが、それに至らない場合であっても、当該労働者の能力、経験、地位、その精神的不調の回復の程度等に照らして、相当の期間内に作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合を含むものと解するのが相当である。
 そして、休職原因がうつ病等の精神的不調にある場合において、一定程度の改善をみた労働者について、いわゆるリハビリ的な勤務を実施した上で休職原因が消滅したか否かを判断するに当たっては、当該労働者の勤怠や職務遂行状況が雇用契約上の債務の本旨に従い従前の職務を通常程度に行うことができるか否かのみならず、上記説示の諸点を勘案し、相当の期間内に作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合であるか否かについても検討することを要し、その際には、休職原因となった精神的不調の内容、現状における回復程度ないし回復可能性、職務に与える影響などについて、医学的な見地から検討することが重要になるべきである。」

「Xは、Xが、休職期間満了時(・・・)の時点で復職したとみるべきであると主張する。
 確かに、Xは、Yからの照会に対し、・・・休職期間満了日翌日より復職する旨を回答し、試し出勤中、傷病手当金の申請をしておらず、Yから得る賃金を生活の糧としていたのであり、こうした事情は、Xにおいて復職を果たしたという認識であったことに整合する事情であるといえる。
 しかしながら、・・・Yが、・・・Xに対して交付した通知には、「試し出勤は、期間を区切り、業務状況・勤怠等の見極めにより面談を行い、傷病診断書(必要に応じ会社が医師との面談相当を行う)結果、復職可能かの審査を行う期間とします。」とされているところであり、就業規則上も、休職期間は延長することがあり、復職させる際は別に定める「職場復帰プランを用いる」と定められているのであるから、Yとしては、Xの復職を直ちに認めるということではなく、その可否を審査するため、休職期間を延長する意思であったものと解するのが合理的であり、そのことは上記通知書を受領したXにおいても認識可能であったといわざるを得ない。」

「Xの休職原因は、試し出勤中に従前の職務を通常程度行うことができる状態になっていたか、仮にそうでないとしても、相当の期間内に通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込まれる状況にあったとみるべきであるから、本件通知書が出されるまでに休職原因が消滅していたものと認められる。してみると、・・・Yが行った休職期間満了を理由とする退職扱いはその効果が認められない。」