福原学園(九州女子短期大学)事件‐最1小判 平28・12・1 労働判例1156号5頁


【事案】
 Xが、Yに対し、Yの行った雇止めは無効であると主張して、労働契約上の地位の確認等を求めたもの。

【判断】
「3 原審は、・・・本件雇止めの前に行われた2度の雇止めの効力をいずれも否定して本件労働契約の1年ごとの更新を認めた上で、要旨次のとおり判断し、本件労働契約が平成26年4月1日から期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)に移行したとして、Xの請求をいずれも認容すべきものとした。
 採用当初の3年の契約期間に対するYの認識や契約職員の更新の実態等に照らせば、上記3年は試用期間であり、特段の事情のない限り、無期労働契約に移行するとの期待に客観的な合理性があるものというべきである。Xは、本件雇止めの効力を争い、その意思表示後も本件訴訟を追行して遅滞なく異議を述べたといえる以上、本件雇止めに対する反対の意思表示をして無期労働契約への移行を希望するとの申込みをしたものと認めるのが相当である。そして、Yにおいてこれまでの2度にわたる雇止めがいずれも客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない結果更新され、その後無期労働契約への移行を拒むに足りる相当な事情が認められない以上、Yは上記申込みを拒むことはできないというべきである。したがって、本件労働契約は無期労働契約に移行したものと認めるのが相当である。
4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 本件労働契約は、期間1年の有期労働契約として締結されたものであるところ、その内容となる本件規程には、契約期間の更新限度が3年であり、その満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは、これを希望する契約職員の勤務成績を考慮してYが必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり、Xもそのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる。上記のような本件労働契約の定めに加え、Xが大学の教員としてYに雇用された者であり、大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていることや、Yの運営する三つの大学において、3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった契約職員も複数に上っていたことに照らせば、本件労働契約が期間の定めのないものとなるか否かは、Xの勤務成績を考慮して行うYの判断に委ねられているものというべきであり、本件労働契約が3年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない。そして、・・・Yが本件労働契約を期間の定めのないものとする必要性を認めていなかったことは明らかである。
 また、有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換について定める労働契約法18条の要件をXが満たしていないことも明らかであり、他に、本件事実関係の下において、本件労働契約が期間の定めのないものとなったと解すべき事情を見出すことはできない。
 以上によれば、本件労働契約は、平成26年4月1日から期間の定めのないものとなったとはいえず、同年3月31日をもって終了したというべきである。」