労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合で、労働時間を算定し難いときは、①所定労働時間労働したものとみなし、②当該業務の遂行が所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は業務の遂行に通常必要とされる労働時間労働したものとみなし、③事業場に労働者過半数代表者との労使協定によって事業場外労働時間が定められている場合は協定による労働時間労働したものとみなすとされている。(労基法38条の2)

事業場外労働が労働時間の一部において行われる場合も、法所定の要件を満たす限り、適用がある。

所定労働時間労働したものとみなす場合、「労働時間の一部について事業場外で業務に従事した場合には、事業場内での労働時間を含めて、その日には、所定労働時間労働したものとみなされる。例えば、所定労働時間が8時間で午前中は事業場内で業務に従事し、午後から事業場外で業務に従事した場合には、事業場外での労働時間の算定が困難なためにその日全体としての労働時間の算定ができないのであれば、みなし労働時間制の適用があり、原則として、その日は事業場内で業務に従事した時間を含めて全体として所定労働時間の8時間労働したことになる。」(厚生労働省労働基準局編『労働基準法(上)』517-518頁,労務行政,2005年)

業務の遂行に必要とされる労働時間労働したものとみなす場合、「労働時間の一部を事業場外で業務に従事した場合には、例えば、事業場外での業務に通常の状態で客観的に必要とされる時間が6時間であれば、事業場内で労働した時間が3時間である日には9時間、4時間である日には10時間労働したものとみなされる。」(前掲・『労働基準法(上)』519頁)

労使協定で定める時間労働したものとみなす場合、「労働時間の一部について事業場外で業務に従事した場合には、事業場内の労働時間と「事業場外で従事した業務の遂行に通常必要される時間」とを加えた時間労働したものとみなされ、したがって、労使協定で定めるのも事業場外で従事した業務についての「当該業務を遂行するために必要とされる労働時間」である(昭63・3・14基発第150号・婦発第47号)。労働時間の一部を事業場外で業務に従事する場合については、労使協定で事業場内で業務に従事した時間をも含めて、その日に労働した時間を協定することはできない。」(前掲・『労働基準法(上)』520-521頁)

「労働時間の一部のみを事業場外で労働する場合は、労働時間の「みなし」は事業場外での労働の部分について許されるが、事業場外労働が1日の所定労働時間帯の一部を用いて(ないしは一部にくいこんで)なされるかぎりは、このみなしの結果、所定労働時間帯における事業場内労働を含めて、1日の所定労働時間だけ(または事業場内労働の時間帯と、事業場外労働に通常必要とされる時間との合計だけ)労働したことになる。」(菅野和夫『労働法〔第9版〕』320頁,弘文堂,2010年)

「事業場外労働のみなし制は、労働者が1日の全部を事業場外で労働する場合だけでなく、一部を事業場外で労働する場合を含む。この場合、事業場内労働・事業場外労働を一括して所定労働時間とみなすのか(一括みなし説)、事業場内労働はそれとして算定し、事業場外労働のみをみなしの対象とするのか(別途みなし説)について争いがあるが、通説・行政解釈は別途みなし説に立っている。みなし制は、労働時間の算定が困難な場合の算定方法を定めた制度であるため、労働時間の算定が可能な事業場内労働を対象とする理由はないからである。」(土田道夫『労働契約法』325頁,有斐閣,2008年)

「労働の一部が事業場外で行われ、残りが事業場内で行われる場合は、事業場外での労働についてのみ、みなし計算がなされる(昭和63・3・14基発150号)。事業場内の労働については独立に実労働計算をすることが可能であり、必要であるからである。これによると、一部事業場外労働において所定労働時間みなしを行う場合は、事業場外労働に対応する部分(事業場内労働の時間を除いた部分)の所定労働時間がみなしの対象となると考えられる。」(山川隆一『雇用関係法〔第4版〕』149頁,新世社,2008年)

「みなし労働時間制による労働時間の算定の対象となるのは、事業場外で業務に従事した部分であり、労使協定についても、この部分について協定する。事業場内で労働した時間については別途把握しなければならない。そして、労働時間の一部を事業場内で労働した日の労働時間は、みなし労働時間制によって算定される事業場外で業務に従事した時間と、別途把握した事業場内における時間とを加えた時間となる。」(昭63・3・14 基発150号)