試用期間中であっても、解雇は「解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解するのが相当である」(三菱樹脂事件 - 昭48・12・12 最高裁大法廷)とされ、それが認められない場合は、解雇権の濫用で無効となる(労契法16条)。

試用期間の長さについて、規制はないが、「労働者の労働能力や勤務態度等についての価値判断を行うのに必要な合理的範囲を越えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、その限りにおいて無効であると解するのが相当である」(ブラザー工業事件 - 昭59・3・23 名古屋地裁 「労働判例」439号64頁)とされ、不合理に長いものは否定される可能性が高くなる。

試用期間の延長は、労働者と合意をする(労契法8条)か、就業規則等の定め(労契法7条)を要し、また、就業規則等の定めがあっても、「会社は、試用期間が満了した者については、これを不適格と認められる場合のほかは原則として社員に登用しなければならない義務があるものと解せられ、従って…試用期間の延長規定は右原則に対する唯一の例外であるから、その適用は、これを首肯できるだけの合理的な事由のある場合でなければなら」ず、「試用延長の意思表示は、試用期間の満了によって本人を不適格として不採用としない意思を表示するものであり、従って、そこには、一応解雇(不適格不採用)事由に該当する様なものがあっても、もはやそれのみを事由としては不採用とはしない意思表示を含むと解すべきであるから、何ら新たな事実の発生がないのに、試用延長前に発生し且つ延長の事由とされた事実のみに基づいて解雇することは、被傭者に一旦与えた利益を奪うこととなって禁反言の原則に照らしても許されない」(大阪読売新聞社事件 - 昭45・7・10 大阪高裁 「判例時報」609号86頁)とされ、安易な延長は避けることが肝要である。

試用目的で有期雇用とすること自体は可能であるものの、「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当であ」り、「試用期間付雇用契約が試用期間の満了により終了するためには、本採用の拒否すなわち留保解約権の行使が許される場合でなければならない」(神戸弘陵学園事件 - 平2・6・5 最高裁第三小法廷 「労働判例」564号7頁)とされることに留意しておくことが必要となる。

そして、「試に使用する者であると称していても、常時の募集で随時めいめいに雇用し、臨時的必要によるもの又は臨時事態の発生による雇用と認められないこと、試の使用であることを職工に通知せず多くはそのまま引き続き試用していること、出勤簿、賃金支払簿の記載についても何の標示もなく、他の者と区別なく、賃金も在来雇用の者に比し差額が少ないこと、又再雇入若しくは経験者であること等に該当する者は社会通念上試に使用する者、臨時に使用する者とは認められず雇入の当初から被保険者である。」(昭13・10・22 社庶第229号)、「事業所の内規等により一定期間は臨時又は試に使用すると称し又は雇用者の出入頻繁で永続するか否か不明であるからと称して取得届を遅延する者等は臨時使用人と認められず、雇入の当初より被保険者とする。」(昭26・11・28 保文発第5177号)といった行政解釈が示すように、試用期間中であっても、社会保険は適用となり、その手続を怠ることは公法上の違法性を帯び、また、私法上も問題となり得る。