関西ソニー販売事件-大阪地判 昭63・10・26 労働判例530号40頁

【事案】
 Xは、Yに雇用され、ソニー特約店への家電製品の売り込み等のセールス業務に従事してきた。
 Yは、Xに対し、基本給の17パーセント(Yがセールスマンの時間外勤務時間が平均して1日約1時間で1か月では合計23時間であるという調査結果を基にセールス手当の割合を定めた割合)のセールス手当を支給していた。(Yの就業規則附則2には「営業等社外の勤務を主体とする者にはセールス手当を支給します。但し、セールス手当支給該当者は第13条(超過勤務手当)及び附則1(残務手当)は支給されません。なお、セールス手当支給該当者でも休日に勤務した場合については第14条休日勤務手当を支給します。」と規定されていた。)
 Xが、時間外労働をしたにも拘らずそれに対する賃金が支払われていないとして、Yに対し、昭和59年8月から同61年7月までの時間外割増賃金の支払を求めたところ、Yは、時間外労働に対する賃金はセールス手当として支払済であるとして争った。

【判断】
「セールス手当は休日労働を除く所定時間外労働に対する対価として支払われるものであり、いわば定額の時間外手当としての性質を有することが認められる。Xは、セールス手当は、外食費、駐車違反の反則金等外勤に伴う様々な支出に対する補償であり、Xが以前勤めていた会社ではそのような取扱であった旨証言するが、他の会社の取扱からYのセールス手当の性質を決定するのは妥当とはいえないし、右はXの考え方でありその裏付けとなる根拠を有するものとは認められないので、右供述は前認定を左右するものではない。」
「労働基準法37条は時間外労働等に対し一定額以上の割増賃金の支払を使用者に命じているところ、同条所定の額以上の割増賃金の支払がなされるかぎりその趣旨は満たされ同条所定の計算方法を用いることまでは要しないので、その支払額が法所定の計算方法による割増賃金額を上回る以上、割増賃金として一定額を支払うことも許されるが、現実の労働時間によって計算した割増賃金額が右一定額を上回っている場合には、労働者は使用者に対しその差額の支払を請求することができる。」
「Yの給与規則では、基本給及びセールス手当は前月21日から当月20日までの分が給与の一部として25日に支払われ、超過勤務手当及び休日勤務手当についても月単位で集計され同様に25日に支払われる旨定められていることは前認定のとおりであるところ、右事実からして、前月21日から当月20日までの1か月間における実際の所定時間外労働に対応する賃金とセールス手当の額を比較し、前者が後者を上回っているときはその差額を請求できると解するのが相当である。」
「Xの請求する所定時間外労働に対する賃金はセールス手当としていずれもXに支払ずみであるから、Xの請求はその余の点につき判断するまでもなく失当である。」

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