January 09, 2018

NECソリューションイノベータ事件‐東京地判 平29・2・22 労働判例1163号77頁

【事案】
 勤務成績、勤務態度不良等を理由に解雇されたXが、Yに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めたもの。

【判断】
「Xの勤務成績は著しく不良であったと認められ、奮起を促されて決意表明を提出し、その後も上司の指導を受け、いくつもの業務を指示されたものの、そのうちの多くの業務について完遂することができないなど、その勤務成績は向上せず、従事を指示されたリサイクルセンターでの業務についても拒否するなど、その勤務態度も不良であったものである。このような中、Yは、XをB社に在籍出向させる形でY社内の印刷業務を行わせようとしたものの、そこでの勤務状況も不良であったことから同出向先から出向解除を要請され、その後Cセンターへの在籍出向をもXが拒んだことから、やむなくXを解雇したものと認められる。
 このように、Xの勤務成績の著しい不良は長年にわたるものであり、その程度は深刻であるばかりか、その勤務態度等に鑑みると、もはや改善、向上の見込みがないと評価されてもやむを得ないものである。Yは、かようなXに対し、人事考課、賞与考課のフィードバック等を通じて注意喚起を続け、かつ、在籍出向を命じるなどして解雇を回避すべく対応しているものであって、手続面でも格別問題のない対応をしていると認められる。このような点に鑑みれば、本件解雇は、客観的に合理的な理由を有し、社会通念上相当と認められるものであって、有効と認められる。」

「Xは、なおも改善、教育の機会が与えられなかった旨主張するが、既にみたように十分にかような機会を与えられてきたというべきであるし、入社して30年近くが経過し、十分に分別があってしかるべき立場にあるはずのXに対し、Yが行ってきたOJTや研修以上に教育の機会を与える必要があったとは認められない。Xは、人事考課書面等におけるコメントが抽象的でいかなる面をどのように改善すべきか読み取ることができないなどとして、改善、教育の機会が与えられていないとも主張するが、前記説示のとおり、実際には、面談の場で上司による口頭での補足や、質疑応答がなされており(・・・)、さらに、職場でのOJTの中でも指導がされていると推認するのが相当であるから、この点に関するXの主張も失当である。
 したがって、YがXに改善教育の機会を与えず、意図的にXを干してきた旨の主張については、採用することができない。」

「Xは、採用以来約30年間にわたり、懲戒処分等を受けることもなく勤続してきたにもかかわらず、突然本件解雇を強行した旨主張するが、既に認定した事実及びそれを前提とする説示内容に照らすと、Xが長年問題なく勤務してきたと認めることは到底できないし、Yとしても、Xに対し、その勤務成績が著しく不良であることを感銘付ける努力を行っていると認められるから、その解雇に至る手続面でも問題があるとは認められない。
 (大企業であるが故に対応できたという面もあろうが、)むしろ、Yは、Xが対応できそうな業務をあてがい、可能な限りの改善、教育を行い、その向上を期してきたにもかかわらず、Xは、その能力不足、勤務態度の不良さ故に向上できなかったものであり、Yが、在籍出向等可能な限りの解雇回避措置を尽くしたにもかかわらず、その甲斐なく解雇に至ったというのが本件の実情であると認められる。
 Xは、Yの対応につきことごとく嫌がらせである旨主張するが、既にみたようにいずれも嫌がらせであるとは認められず、むしろ、Yは、Xに対し、容易にクリアーできるレベルのオーダーをしてきたということができる。しかるに、そのようなYのオーダーに対し、結果を出すことができず、一段上へのステップに進むことができなかったXの対応こそが、その著しい能力不足、勤務態度の不良を裏付けているというべきである。」

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