学校法人早稲田大阪学園事件‐大阪高判 平29・4・20 労働経済判例速報2328号3頁

【事案】
 Xらが、新人事制度が施行され就業規則が変更されたことで退職金が減額となったが、同変更がXらを拘束しないとして、変更前の規則に基づく退職金と既払退職金との差額等の支払を求めたもの。
 1審がXらの請求を棄却したため控訴。

【判断】
「当裁判所も、Xらの請求は、いずれも理由がないものと判断する。」

「Xらは、基本給の減額等の不利益変更や経費削減策によって平成25年度の黒字転換が可能であったと考えられ、Xらの退職金の減額までは必要なかったとの趣旨の主張をするが、Xらの退職金の減額は、専ら基本給の減額に連動したものである。基本給を減額して退職金を含めた人件費を削減するという経営再建策は、個々の労働者にとって、主にその勤続年数や自己に適用されている基本給の額によって受ける影響が異なるものと考えられるから、一部の労働者についての退職金減額の部分のみを切り出して、その必要性を判断するのは相当でない。労働条件変更の必要性の有無は、変更される労働条件全体について判断すべきである。」

「Xらは、賃金減額についての激変緩和措置は、退職金の減額に関する激変緩和措置として考慮することはできない旨主張する。
 しかし、退職金減額による不利益は専ら経済的なものであり、経済的な利益又は不利益は金額の多い少ないに尽きるのであるから、退職金の点だけでなく、本件変更の全体によってYから支給を受ける額がどう変わるかによって判断すべきである。したがって、賃金減額についての激変緩和措置を、退職金の減額に関する激変緩和措置として考慮することは不当ではない。」

「Xらは、Yの退職金が大阪府内で高いものになっているとはいえない旨主張する。
 しかし、証拠(書証略)によれば、Xらは、激変緩和措置により、実際の退職時をもって退職金額を算定するよりも、平成25年3月末退職として退職金額を算定した方が高くなるため、その高い方である後者の算定方法によって退職金を支給されたことが認められる。平成25年3月末退職として、Yの退職金支給規則による算定と、大阪府私学連合会の退職金事業における算定と比較すれば、・・・支給率はYの方が格段に高いから、退職金額は明らかにYの方が高くなるといえる。」

「Xらの当審における補充主張は、いずれも本件の判断を左右するものではない。」

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