ブレックス・ブレッディ事件‐大阪地判 平18・8・31 労働判例925号66頁

【事案】
 Xが、Y2社に対し、労働契約に基づき、賃金等の支払の請求を、Y3、Y4に対し、取締役に対する損害賠償として賃金相当損害金等の支払を、Y1社に対し、損害賠償として賃金相当損害金等の支払を求めたもの。

【判断】
「(4)ア Xは、Y2社との間で使用従属関係があったことの根拠として、①Xは、Y1社による社員募集の求人票により本件店舗での就労に応募したこと、②Xは、Y2社から、本件店舗で1日10万円(税抜き)の売上金を確保するように指示されていたこと、③Xは、本件店舗の販売品目について、Y3の指示により、Y1社が定めた中から店頭の販売品目を選択しており、また、販売価格を変更することができなかったこと、④本件店舗での服装について、制服(帽子、上着、エプロン)が定められていたこと、⑤本件店舗において、食品材料をY1社の工場に注文し、冷凍物、包装資材等をY1の親会社に注文することが決まっており、また、Y3は、この注文に関する代金を支払い、本件店舗に来る請求書、納品書を持ち帰っていたこと、⑥Xは、本件店舗に機械、器具を一切持ち込んでいないこと、⑦Xは、Y4から、レジでの操作(取消、清算の処理)、金庫又は銀行への入金について、Xが行うように指示されていたこと、⑧Xは、Y4から、アルバイト1名につき多額の交通費を要するので辞めてもらうように指示されたこと、⑨Xは、アルバイトを補充する際、Y3の了解を得た上で、同Y3が用意した張り紙で募集して面接し、同Y3に報告し、同Y3が同人の履歴書を持ち帰り、また、アルバイトが退職する際、その都度Y3に報告したこと、⑩Xは、仕事を他社に依頼することは許されず、その仕事を拒否する自由を有していなかったことを挙げる。
 イ しかし、上記①については、Y1社が、Xに対し、採用面接をした後に正社員は採用しないことにして、これをXに告知した上で、Y2社にXを紹介したこと、Y2社が、Xと面接した上で採用し、Xとの間で労務提供の条件を定めたことは・・・認定のとおりであり、上記①の事実は、XのY2社に対する労務提供に直接関わる事項とはいえない。
 ウ 上記②については、これに沿うXの陳述書(〈証拠略〉)が存するが、他に認めるに足りる証拠ははく、この点に関するX本人の供述に照らしても、Y2社がXに対し、本件店舗での売上金額を上げるように具体的に指示していたとは認められない。
 エ 上記③、④、⑤、⑥については、・・・認定によれば、本件フランチャイズ契約に基づき、本件店舗における商品の品目及び価格、服装(制服)、指定された材料に関する仕入先及び代金支払方法については、Y1社が一次的に決定し、また、Y2社は、Y1社又はその指定業者から本件店舗の設備・什器・備品を購入するものとされていることが認められる。
 これらによれば、Xが、これらの内容に従って本件店舗を管理運営していたことをもって、Y2社がXに対し、その業務遂行につき指揮監督を及ぼしていたとは認められない(なお、Xが商品価格の値引きをしないと決定していたことは、・・・のとおりである。)。
 オ 上記⑦については、Xが、経営者であるY2社から本件店舗の店長として管理運営を任され、Y2社がこれに具体的に関与していなかったことに照らすと、Xが、本件店舗の売上金等について、レジで精算し、金庫で保管し、銀行に入金することは、Xの就労内容から十分に想定できる事項であり、Y2社がXに対し、これを行うように指示したことをもって、その業務遂行につき指揮命令を及ぼしていたとは認められない。
 カ 上記⑧については、証拠(〈証拠略〉、Y4)によれば、この事実は認められるが、他方、Y4は、この指示をした際、Xから本件店舗の運営に口出ししないように言われた旨供述し、これに沿う陳述書(〈証拠略〉)が存する。そして、Y2社が、事業の運営資金を負担し、アルバイトの給与額をきめていたことを併せ考えると、Y4の上記発言をもって、Y2社がXに対し、その業務遂行について指揮命令を及ぼしていたとまでは認められない。
 キ 上記⑨については、Xが、アルバイトの採用について、開店当初の時期を除き、自分で決定していたことは、・・・のとおりであり、上記⑨のような事実が認められるとしても、このことをもってY2社がXに対し、その業務遂行について指揮命令を及ぼしていたとは認められない。
 ク 上記⑩については、Xが、本件店舗の店長として、本件店舗において就労することは、Y2社、X間の労務提供に関する契約内容そのものであり、このことから直ちに、Y2社がXに対し、その業務遂行につき指揮命令を及ぼしていたとは認められない。
 ケ 以上のとおり、Xが挙げる上記①ないし⑩の各点は、Y1社とXとの指揮命令関係を根拠付けるものではない。
(5) ・・・Y2社とXとの間に、その労務提供の実態に照らし、使用従属関係があったとは認められず、Xが労働基準法上の労働者に当たるとは認められない。
 なお、証拠(〈証拠略〉)及び弁論の全趣旨によれば、・・・堺労働基準監督署の監督官が、X4,Y3、Y4及びE専務が同席した場において、Xの労務提供について、業務委託契約ではなく、労働契約ではないかと疑問を示したことは認められるが、これは、当事者に対する事情聴取の段階において所感を示したものと認められ、以上の認定判断を左右するものではない。」