センバ流通事件 ‐ 仙台地決 令2・8・21 労働判例1236号63頁

【事案】
 Xらが,Yに対し,Yによる整理解雇は無効であるとして,地位保全等を求めたもの。

【判断】
「(1) 本件解雇は有期雇用契約の期間満了前の解雇であるから「やむを得ない事由」(労働契約法17条1項)が必要である。やむを得ない事由の判断に当たっては,本件解雇が整理解雇でもあることからすると,①人員削減の必要性,②解雇回避措置の相当性,③人員選択の合理性,④手続の相当性の各要素を総合的に考慮して判断すべきである。」

「(6) 以上のとおり,本件解雇は,①Yに人員削減の必要性があり,その必要性が相応に緊急かつ高度のものであったことは疎明があるが,直ちに整理解雇を行わなければ倒産が必至であるほどに緊急かつ高度の必要性であったことの疎明はなく,②Yが一部従業員の休業等の一定の解雇回避措置をとったことは疎明があるが,雇用調整助成金や臨時休車措置等を利用した解雇回避措置が可能であったにもかかわらずこれを利用していない点において解雇回避措置の相当性は低く,③人員選択の合理性および④手続の相当性も低い。これらの事情に,特に雇用調整助成金の利用が可能であったにもかかわらずこれを利用していないという解雇回避措置の相当性が相当に低いことに加え,本件解雇が有期労働契約の契約期間中の整理解雇であることを総合的に考慮すると,本件解雇は労働契約法17条1項のやむを得ない事由を欠いて無効である。」

「(1) Yは,仮にXらを解雇していなかったとしても休業を命じる旨を主張しているため,Xらが仮払いを受けられる金額はYに民法536条2項の帰責事由がない場合には,平均賃金の6割の休業手当相当額にとどまることになる。
 そこでYの帰責事由について検討するに,上記3のとおり,本件解雇が無効であるのは,YがXらを休業させて雇用調整助成金を受給する等の解雇回避措置を取らなかったことが大きな理由の一つであることからすると,Xらの雇用の継続は新型コロナの影響によるタクシー利用客の減少が解消されるまでの間,Xらを休業させることが前提となっている。
 そして,Yが令和2年5月に稼働させた従業員は,大半が最低賃金額を超える歩合給になるような営業収入を上げることができておらず(上記2(17)),新型コロナの影響によるタクシーの利用客の減少は継続している。そうすると,仮にXらを解雇していなかったとしても,YがXらに休業を命じることに民法536条2項の帰責事由がないことの疎明があるといえ,Xらが仮払いを受けられる金額は休業手当相当額である。」